2006年4月16日(復活節第1主日)
今年も主イエス・キリストのご復活を祝う時を迎えました。おひとりおひとりの上に、ご復活の主イエス・キリストの変わることのない御祝福がありますように。
今日はマタイ福音書28:1-10を通して主イエス・キリストのご復活について学びましょう。1節には、2つの時間設定即ち「安息日が終わって」と「週の初めの日の明け方」が出てきます。この2つの時間設定は、主イエスが十字架につけられたのが金曜日で第1日目。安息日が土曜日で第2日目。「週の初めの日の明け方」とは日曜日の朝のことで第3日目。1節の2つの時間設定は、この3日間をさしています。
当時のユダヤ教によれば、人の死後3日間墓に納めれば、その人は完全に死んだ状態にあると考えられていました。1節の2人の女たちも、主イエスが金曜日に十字架につけられた後、3日間墓に納められ、主イエスが完全に死んだ状態にあることを確認するために、又死体に塗る香料を携えてやってきたのでした。
しかし、今日のところは、2人の女たちが、主イエスのあの十字架の死を確認しにやってきたと言うばかりではなく、重点は、彼女たちが、主イエスの甦りの福音に接することになったと言うことに移っています。
さて、「大きな地震」があった(2節)、―――これは、ユダヤ教では神顕現の様式、即ち、神がそこに臨んできたことをあらわす―――ことが記されています。又、2節、3節によれば、主の使いが天から下ってきて大きな石を転がしたこと。又、主の使いの衣が
ことが記されています。
これらの道具立て、又様子、様式で言いたいことは、主の使いは重要な役割を担っていて、その重要な役割とは、2人の女たちに主イエスの甦りの福音を伝えると言うことです。
このことが、5節〜7節に書かれています。5節〜7節で最も強調されているのは、7節です。
この7節で、「弟子たちにこう伝えなさい」と主イエスの弟子たちのことが出ています。彼らは、聖書をお持ちの方はお開き下されば幸いですが、主イエスに最後まで従いますと力強く誓ったものの(マタイ 26:33-35)、もう次の日には、3度も主イエスのことなど知らないと強く言い張るのでした(マタイ 26:69-75)。
このような弟子たちに、主の甦りの福音を2人の女たちによって伝えられると言うのが7節です。
さらに、7節で強調されているのは、主イエスは、弟子たちより先に「ガリラヤへ行かれる。そこで(弟子たちは主イエスに)お会いできるであろう」とあります中の「ガリラヤ」です。「ガリラヤ」とは、ユダヤ人の住むエルサレムと対照的に用いられ、「異邦人のガリラヤ」(4:15)と言われ、ここではユダヤ人以外の人々のことをさしています。即ち、ユダヤ以外の人々であるわたしたちひとりひとりに主イエスの甦りの福音が伝えられることをさしています。
さて、わたしたちの教会の初代の牧師は、中村繁次と言う方でした。中村先生は、シベリヤ抑留の経験の持ち主です。中村先生は、シベリヤ抑留の中で、相手の兵よりあまりにもひどい仕打ちをされて、まき割りの仕事の最中、そのままで相手の兵を殴りつけてやろうかと思ったことが何度もあると言われています。丁度エジプトでひどい仕打ちをされていたモーセがエジプト兵を殴り殺したように。(出エジプト記 2:11-15))しかし中村先生を、ひどい仕打ちとシベリヤでの試練に耐えさせたのは、聖書のみ言葉と讃美歌312番だと言われています。讃美歌312番はこうなっています。
@ いつくしみ深き 友なるイエスは、
罪とが憂いを とり去りたもう。
こころの嘆きを 包まず述べて、
などかは下さぬ、 負える重荷を。
・・・・・
B いつくしみ深き 友なるイエスは、
かわらぬ愛もて 導きたもう。
こうしたことを中村先生は、『銀の糸』と言う本の中で神の導きは銀の糸のように定かに見えにくいこともあるが、しかし、いつも変わらぬ愛と確かな導きの糸をもって導いて下さっているのだと言っておられます。
そして、今日主の甦りの福音に接する2人の女たちにも、主イエスの信仰を失いかけていたあの弟子たちにも、又、現代を生き抜くわたしたちひとりひとりにも甦りの主イエスは、変わることのない愛と導きの糸をもって導いて下さっている。このことが復活祭のこの日、甦りの主イエスより受けとるわたしたちへの福音です。
10節では、7節で主の使いを通して2人の女たちに語られた同じ言葉が、今度は、甦りの主イエスご自身から語られています。10節で注目したいのは、7節では「弟子たちに」となっていたのが、10節では「兄弟たちに」となっていることです。10節の「兄弟たちに」とわざわざ言い換えられている理由は、この主イエスの「兄弟たちに」と言う呼びかけの中に、主イエスご自身の暖かい熱い、そして変わることのない広く大きな思いやりと愛が満ち満ちているからです。
甦りの主イエスは、このようにして2人の女たちに、弟子たちに、わたしたちひとりひとりに暖かい熱い、そして変わることのない広く大きな思いやりと愛をもっていつも支えて下さっているのです。これが復活祭の今日のメッセージです。
「甦りの主イエス・キリストよ。
今年も復活祭の時を迎えました。
あなたは、いつも、わたしたちひとりひとりに
「兄弟たちよ、姉妹たちよ」と呼びかけ、
変わることのない広く大きな愛と導きの糸をもって導き、支えて下さっています。
新年度も、甦りの主よ。あなたを見上げて、力強く進ませて下さい。
主イエス・キリストのみ名によってお祈り致します。
アーメン。」